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脳に棲む魔物

土日は「よろずの事に気をつけよ」の他にもう1冊読みました。
図書館を利用するようになって懐に優しく読書量が増えたのはええねんけど、
がっかりする作品と出会う確立も格段にUP!
ただ、この土日はなかなか良いチョイスでした^^

脳に棲む魔物_f0162381_12592794.jpg


で、この「脳に済む魔物」。
またオカルト?と思う人もおるかもしれんけど、こっちはいたってまじめな医療ノンフィクション。
ニューヨークボストの記者で24歳のスザンナ(作者自身)がある日体調に違和感を感じ始める。
それは身体だけの不調ではなく、普段ならありえないような自分の言動に周囲を戸惑わせ、
やがて坂道を転がるように人格が変異して・・・

医療ノンフィクション読んでると、不調の原因が特定されず、適切な医療を受けられない
ということがいかに恐ろしく、不幸な事かということを毎回感じさせられます。
それと同時に的確な診断をしてくれる医者と巡り会えるかどうかということも切実な問題で、
これは重症軽症にかかわらず、日々誰しも感じることやないやろかと思います。

医学論文というものが年間どれくらい発表されてて、どれくらいのスピードで
実用化されているのか知るよしもないけども、医者個人が常に新しい情報を
把握することなんてまず無理で、既存の知識で診断処理されてしまうと言うことは
割と日常で起きてることじゃなかろーかと思います。
実際の所、スザンナの場合はなんほ検査しても異常は見つからず、最初に受診した医者からは
普段ワインを2杯のむ程度と言っているにもかかわらず、「毎日2本」と勝手に変換されてしまい、
重度のアルコール依存症と診断されてしまいます。
あまり意識したことなかったけど、セカンドオピニオンってこういう意味で必要なのねと
感じさせられます。

異常な言動、視覚の異変、てんかんのようなひきつけと、症状の進行はすさまじく早く、
やがて作者の人格は完全に消滅してしまいます。
人格が消滅してから作者は約1か月の記憶がほとんどなく、この著書では家族や医師、看護スタッフへの聞き取り、
病室内の監視カメラの映像から、消えた1か月を丹念の掘り起こして綴っています。

作者の症例がいかなるものなのか、それに対峙した医療チームがどんなだったか、
そして社会復帰後にニューヨークポストに自身の体験を記事にしたことで
世間でどんな反応があったか、是非作品を読んで知ってもらいたいところです。
どんなに毎日健康的な生活を送ってても、人体のしくみはそれを超越していて、
しかも時に理不尽で、どうしようもなく神秘的です。

もうひとつ、日本の場合ならば保険制度がどこまで適用されるんやろうとか、
うちの生命保険でどこまでカバーされるんやろうとか、
そういったマニー関係も気になるところです^^;






by nekoya_cafe | 2014-06-23 12:59 | コーヒーと読書

自家焙煎と読んだ本あれこれ


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